【7月2日 東方新報】中国の5Gの商用化が加速したことで、深セン(Shenzhen)港湾業に大きな変化が起きている。国務院傘下の海運、造船、港湾・高速道路・物流施設などの管理運営企業グループ・招商局集団はこのほど「5Gスマート港湾」イノベーション・ラボをスタートした。

 中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)広東深圳支社、ファーウェイ・テクノロジー、上海振華重工スマート産業集団、三一海洋重工、杭州ハイクビジョン・デジタルテクノロジーなど11社が合同でこのラボ設立の共同宣言に調印した。招商局港湾は投資基金を創設し、海星埠頭(ふとう)のロケーションを利用し、各パートナーとの協力によって、5G技術の港湾産業とグローバルサプライチェーンの応用における可能性を探りつつ、港湾産業の新たなモデルを提示していき、将来的にはその経験を「一帯一路(Belt and Road)」地域のその他の港湾、コンテナターミナルで応用していきたい考えだ。

 このラボは5Gスマート港湾プロジェクトの実現の第一歩という。4月11日には深圳市工業・情報化局と招商局港湾集団が戦略的協力協議に調印、5Gスマート港湾建設を共同推進していき、5G産業の発展を促進する、としていた。

 5Gスマート港湾は港湾における5G業務応用の試金石であり、将来的には広東マカオ香港グレートベイエリア区の港湾建設の標準となる。5Gスマート港湾イノベーション・ラボはそのプロジェクトの全面的スタートを示すものだと言える。

 さらにいえば、このラボは技術実験室であると同時に、産業集積地でもある。また5G技術のイノベーションプラットフォームである。ファーウェイやチャイナモバイルなどの5G技術の標準企業がこぞってこの建設に参与することで、業界全体でその技術を共同研究、応用し、5Gの無限の可能性を探ることができる。また、産業イノベーションセンターとして役割もある。5G技術、自動運転技術、人工知能(AI)、ターミナルクレーンのリモートコントロール技術などを集積して、実際の港湾で応用することで、産業界同士が刺激しあい、深圳における港湾区を5G国際科学技術産業イノベーションセンターとしていくことになる。

 港湾の建設、維持管理、運営サイクルなどをAIやIoT、ICTなどハイテク技術を活用してスマート化、強靱(きょうじん)化する港湾業務のスマート化は、今や国際コンテナ港が競争に勝ち抜くためには欠かせない。5G商用化で先行する中国は、「5G+」プロジェクトの形で、5G普及の促進を図っているが、5Gスマート港湾プロジェクトはその中でも目玉のひとつだ。(c)東方新報/AFPBB News