【6月28日 東方新報】第十三期中国全国人民代表大会常務委員会の第11回会議が29日から北京で開かれる。17日に行われた委員長会議で提案されていたワクチン管理法草案、民法典婚姻家庭編草案、民法典継承編草案などの審議が予定されているほか、国務院からは社区矯正法案、パスワード法案の審議の提案がされている。

 これらの中で特に注目を集めているのがワクチン管理法草案だ。これは中国初のワクチン管理に関する立法で、2018年12月23日、ワクチン管理法案が初めて全人代常務委員会で審議された。中国メディアによれば、「処罰によって偽ワクチン・劣化ワクチンの違法製造・販売を破産させる」ための法律で、各関係者の重要意見をフィードバックさせたという。

 今年4月20日にワクチン管理法草案の2回目の審議が行われ、ワクチン製造・管理の全プロセス、フルチェーンの監督管理を行うと同時に、ワクチン研究製造のイノベーションを奨励し、さらに一歩、予防接種管理を強化し、違法行為に対する懲罰力を強化することなどが盛り込まれた。

 第二回審議を経た草案では、生産、販売されたワクチンが偽薬であったり、違法な生産によるものであったりした場合、販売されたワクチン価格の15倍以上30倍以下の罰金が科されることになった。ワクチン価格が50万元(約780万円)に満たない場合、200万元(約3100万円)以上1500万元(約2億3500万円)以下の罰金、ワクチン価格が50万元以上100万元(約1570万円)以下であれば、500万元(約7800万円)以上3000万元(約4億7000万円)以下の罰金となる。

 また、ワクチンに品質問題があると知りながら販売、接種した結果、接種を受けた人が死亡または健康に重篤な被害が出た場合、本人あるいはその近親者は実質的な損害賠償だけでなく、懲罰的賠償を請求できるとした。ワクチン管理法第二審議草案は4月26日に全人代オフィシャルサイトで発表され、5月25日までパブリックコメントを募集していた。

 中国では、バイオ製薬会社・長春長生生物科技が狂犬病ワクチンの製造記録の改ざんや、品質が基準に満たない乳幼児向け3種混合ワクチンの大量出荷問題が2018年に発覚し、社会問題となるなど、偽ワクチン・欠陥ワクチンの違法販売や健康被害が根絶できていない。こうした欠陥ワクチン問題が繰り返し発生する背景には、ワクチン製薬企業の腐敗や癒着、市場寡占問題があるとされ、これを厳罰によってワクチン製薬業界をただすためにも、ワクチン管理法の成立が急がれている。 (c)東方新報/AFPBB News