■不正発覚のきっかけは

 この不正が明らかになったきっかけは、不妊治療で生まれた子どもの一人が自身の遺伝的背景に興味を持ち調査したことと、別のもう一人が両親のいずれも遺伝性のセリアック病にかかっていないにもかかわらずセリアック病と診断されたことだった。

 25歳だった3年前に自分の生物学上の父親がバーウィン氏だと知ったレベッカ・ディクソン(Rebecca Dixon)さんは懲罰委員会で、「嫌悪感」を覚えるとともに、「汚された」気がしたと語った。

 ディクソンさんは被害者影響報告書の中で、「あの瞬間、私の人生は永久に変わった」「その後しばらくの間、自分の顔と切り離されたような気がした。鏡に映る振り返った人物が、もう完全に自分ではないかのようだった」と語った。

 大きな健康問題を抱えているディクソンさんの父親は、「自身が育て、愛してきた娘が実は生物的上の子どもではなかったと受け入れることを学ぶしかない」という。

 ディクソンさんは、「母は知らないうちに、許可なく自身の体に引き起こされた事実に向き合わなければならない」とも語った。

 ディクソンさんは、人混みの中にいると「気が付けば自分に似た人、片親違いのきょうだいかもしれない人を探している」と語った。これまでに片親違いのきょうだいを15人見つけたが、その数はさらに増える見込みだという。(c)AFP