【7月11日 AFP】1969年7月20日、米国の宇宙飛行士、ニール・アームストロング(Neil Armstrong)氏が人類で初めて月面に降り立った時、米テキサス州ヒューストン(Houston)にある地上管制センターの時計は午後10時56分を示していた。

 この偉業を伝えるため、AFPからは数人の記者が現地に派遣されていた。月の「静かの海(Sea of Tranquility)」から送られたライブ映像は、米航空宇宙局(NASA)ジョンソン宇宙センター(Johnson Space Center)を経由して世界中のテレビ画面に映し出された。

 ここに記すのは、50年前のその日、AFP記者らがフランス語で書いた原稿だ。会話部分は、NASAの記録と照らし合わせてある。

■月を征服

 1969年7月20日、静かの海──。

 米国時間(以下同)午後10時56分:永遠に続くかと思われるほど長い時間が経過した後、今回のミッションの船長、アームストロング飛行士が月へと降り立った。

 その数時間前、アームストロング氏は突然、予定より5時間早く船外活動を開始すると発表した。人類が初めて月に降り立つまでのカウントダウンが始まった。

 午後7時42分:宇宙飛行士たちが船外活動のための準備を開始。バイザーが二重になったヘルメット、ブーツ、高強度のグローブを身に着け、バックパックのような形の生命維持装置を背負い、圧力調整機能や無線通信システム、酸素供給システムなどの作動状況を確認。

 午後7時50分:NASAが準備に2時間を要すると発表。アームストロング氏の船外活動は午後10時以降となる見通し。

 午後9時55分:船内の気圧を下げ、同時に宇宙服を加圧。

 午後10時00分:船内は真空状態に。

 午後10時15分:宇宙服が十分に加圧された状態に。

 午後10時20分:すべて順調。船内は真空状態を維持。宇宙飛行士らの頼みの綱は生命維持装置のみ。