【6月25日 AFP】カナダの仮想通貨交換業者クアドリガCX(QuadrigaCX)の創業者で昨年末に急死したジェラルド・コットン(Gerald Cotten)最高経営責任者(CEO)が、生前に顧客の資金数百万ドルを私的に流用していたことが、管財人の会計監査で発覚した。コットン夫妻は流用した資金で豪遊していたという。

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 コットン氏は昨年12月9日、ボランティア活動をしていたインドの孤児施設でクローン病の合併症のために30歳で急死。仮想通貨を保存していたコンピューターのパスワードを知っていたのはコットン氏だけだったため、妻のジェニファー・ロバートソン(Jennifer Robertson)氏がクアドリガを代表して、数百万ドルに上る顧客の仮想通貨にアクセスできないと説明する宣誓供述書を裁判所に提出し、破産保護を申請。今年2月にカナダ・ノバスコシア(Nova Scotia)州の高等裁判所から破産申請が認められていた。

 だが、裁判所からクアドリガの破産管財人に指名された国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(Ernst & YoungEY)の報告書によると、相当な量の仮想通貨がクアドリガから外部のプラットフォームに移され、競合他社の取引所を通じてコットン氏の個人口座に送金されていたことが判明。コットン氏と妻のロバートソン氏はそうした資金で高級品や不動産を購入したり、プライベートジェットで旅行したりしていた。取引の損失隠ぺいにも流用されたという。

 EYはクアドリガが顧客7万6000人分の仮想通貨など2億1500万カナダ・ドル(約175億円)相当を保有していたと突き止めたが、これまでにクアドリガが回収できたのは3300万カナダ・ドル(約27億円)のみだという。

 さらにEYは報告書で、コットン氏が過去3年にわたって正式な会計記録を保管しておらず、監査を受けずに多額の資金移動を行っていたと指摘した。

 コットン氏が自らの死を偽装したのではないかとの見方も浮上しているが、この点について報告書は探求していない。(c)AFP