【6月23日 AFP】タイ北部チェンライ(Chiang Rai)県タムルアン(Tham Luang)で、地元サッカーチームの少年たちとコーチが洞窟に閉じ込められた日からちょうど1年となった23日、無事救出されたコーチと少年らが主導したチャリティーレースが洞窟の近くで開催された。

 昨年の6月23日、洞窟に入った少年サッカーチーム「ワイルド・ボアーズ(Wild Boars)」のメンバー12人とコーチのエーカポン・ジャンタウォン(Ekkapol Chantawong)さんは、洪水によって洞窟から出られなくなった。

 浸水した洞窟内の細い通路でダイビングのスペシャリストが、少年らに鎮静剤を慎重に投与して搬送し、3週間近くを経て全員が無事救出された。ただ、元タイ海軍特殊部隊員のボランティア、サマン・クナン(Saman Kunan)さんが救出活動中に死亡し、唯一の犠牲者となった。

 23日のレースには、ジャージー姿や思い思いの仮装姿のランナーやサイクリストら約5000人と共に、救出された少年のうち11人も参加。サマンさんをしのんで建てられた銅像の脇を駆け抜けた。

 このチャリティーレースが、毎年恒例のイベントとなることを望む人たちもいる。

「去年の6月と7月にここで起こったことを忘れないことが大切だ」と、少年たちの救出に加わった英国人ダイバー、バーン・アンズワース(Vern Unsworth)さんは言う。

 事件から1年を経て、少年たちはもはややせ細ってはいない。多くは今もサッカーの有名選手になることを夢見て、エーカポンさんが経営するサッカーアカデミーで練習に励んでいる。

 少年たちと共に6キロのコースを走り終えたエーカポンさんは、「昨年、自らの時間を犠牲にして私と少年たちを無事に助け出してくれた全ての人たちに感謝しています」と改めて謝意を述べた。

 チャリティーレースの主催者によれば、寄せられた資金はタムルアン洞窟の再整備に充てられる。

 洞窟は現在も閉鎖中だが、地元当局ではタイ内外から同地を訪れる観光客向けに洞窟を再開したい考えだ。(c)AFP/Sippichai KUNNUWONG