【6月23日 AFP】アフリカ北西部モーリタニアで22日、大統領選の投票が行われた。同国で初めて民主的な政権移譲を実現する見通しだが、野党側は複数の選挙違反に関する「憂慮すべき兆候」があると訴えている。

 投票はグリニッジ標準時(GMT)22日午後7時(日本時間23日午前4時)に締め切られた。暫定結果は今週初めに発表される見込み。

 最有力候補は、現大統領の元側近であり、政権の支持を得るモハメド・ウルド・ガズワニ(Mohamed Ould Ghazouani)氏(62)で、23日未明には現大統領、支持者、報道陣の前で勝利を宣言した。

 選挙管理委員会の関係筋によれば、開票率80%を超えた時点でガズワニ氏の得票率は50.56%だったという。

 ガズワニ氏は支持者に対し、「まだ20%が未開票だが、最終結果を変えるものではない」と話したと伝えられている。

 その一方、主要野党から立候補したシーディ・モハメド・ウルド・ブバカル(Sidi Mohamed Ould Boubacar)氏を含む候補者4人は、今回の選挙で不正投票が複数あったと主張。

 これに対し独立国家選挙管理委員会(CENI)は、重大な事案は一件も発覚していないと述べている。

 今回の選挙では、クーデターが繰り返された同国の歴史上初めて、選挙で選ばれた大統領が任期を満了し、選挙で選ばれた後任に政権を移譲することになる。

 だが野党側は選挙について、軍出身者が多数派を占める政権を永続化させる恐れがあるとの懸念を示していた。

 サハラ(Sahara)砂漠に位置し、人口の大半をイスラム教徒が占めるモーリタニアの有権者数は約150万人。

 退任するモハメド・ウルド・アブドルアジズ(Mohamed Ould Abdel Aziz)大統領はもともと軍の将官で、2008年にクーデターによって権力を掌握。翌2009年の大統領選で勝利し、野党がボイコットした2014年の大統領選で再選された。

 アブドルアジズ氏は今回の大統領選で、元側近のガズワニ氏を支持。ガズワニ氏もかつて軍の将官を務め、今回の大統領選の最有力候補とみられていた。

 アブドルアジズ氏は、軍の改革やイスラム過激派の取り締まり、辺境地域の開発推進などで功績を残した。しかし人権団体などは、同氏の政権が表現や集会の自由を制限していると非難。さらに女性に対する暴力や、公式には1981年に廃止したものの、いまだ根強く残る奴隷制度への取り組みを強化するよう求めていた。(c)AFP/Hademine Ould Sadi and Selim Saheb Ettaba