【6月21日 AFP】共和党が多数派を占める米議会上院は20日、サウジアラビアなどに81億ドル(約8700億円)相当の武器を売却するドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の計画を阻止する決議案3件を、賛成多数で可決した。民主党の他、共和党からも7議員が3件全てに賛成票を投じた。

 決議案はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンに航空機の保守支援や精密誘導弾などを供与する22件の売却計画を阻止するもの。

 トランプ政権は5月、中東の安定に対するイランの脅威を理由に、議会での承認手続きを迂回(うかい)して売却を行う例外的措置を取っていた。マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官はイランについて、サウジアラビアと長年敵対し、イエメンの反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」を支援するなど緊急事態を引き起こしており、武器売却は米政府による対応策だと説明していた。

 しかし、中東で緊張が高まる中、サウジアラビアへの武器売却は4年に及ぶイエメン内戦を激化させるとの批判を浴びている。

 また、議員らは、議会の承認を迂回する措置に法的根拠がないと主張。トランプ氏に近いリンゼー・グラム(Lindsey Graham)米上院議員も、サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が昨年殺害された事件に言及し、売却阻止の決議案可決はサウジアラビアが態度を改めなければ「戦略的関係を築く余地はないという合図」だと述べた。

 売却阻止の決議案が民主党多数の下院も通過した場合、トランプ氏は拒否権を行使する見通し。議会が大統領拒否権の発動を覆すには3分の2以上の賛成が必要となる。(c)AFP