【6月20日 AFP】国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は19日、暴力や迫害により避難を強いられている人々の世界的傾向に関する年次報告を発表し、そうした避難者は昨年末の時点で過去最高の7080万人に達したと明らかにした。

 UNHCRは、ベネズエラの壊滅的な危機を逃れた人々が計算から漏れているなど、数え切れていない難民や亡命申請者がいるため、この数字は「控えめ」なものだと説明。実際の人数はさらに多いとしている。

 2017年末時点の避難者は世界全体で6850万人だった。報告によると、2018年はエチオピアとベネズエラで急増が見られ、全体を押し上げた。エチオピアでは民族紛争が原因で国内避難民が増加。ベネズエラでは経済の崩壊で基礎的な食料や医薬品が不足する中、1日平均で数千人が出国した。

 国連の推計によると、2016年以降にベネズエラを逃れた人は330万人に上る。UNHCRトップのフィリッポ・グランディ(Filippo Grandi)高等弁務官はスイスのジュネーブで記者団に対し、今回の7080万人に含まれているベネズエラ国民は、正式に難民申請した約50万人だけだと説明した。

 避難を余儀なくされている人の総数は過去20年で倍増し、今ではタイの人口を超えている。

 UNHCRの報告によると、7080万人のうち4130万人が国内避難民、2590万人が難民で、350万人が亡命申請を済ませて正式な決定を待っている亡命申請者だった。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)によると、難民とは、紛争や迫害の恐れがある母国を逃れ、帰国できないか、帰国しようとしない人を指す。(c)AFP/Agnes PEDRERO