【6月17日 Xinhua News】新規株式公開(IPO)後に株価が低迷する現象は珍しいことではなくなった。プライベート・エクイティ(PE)ファンドにとっては、上場後に持ち株を売却すれば大もうけができるという素晴らしい時代が過ぎ去ろうとしているともいえる。

 昨年来、米国または香港市場に上場した中国の新経済(ニューエコノミー)企業は計46社。うち2018年の上場は33社、2019年に入ってからは13社を数える。これら46社の13日終値と上場初日終値を比べると、87%に当たる40社が下落していた。

 ▽下げ幅は最大で80%近くに

 下落した40社のうち12社は下げ幅が50%を超えていた。最も下げたのは米ナスダックに上場した中古車専用ECサイト、優信二手車で、下げ幅は80%近くに上った。これに続くニュースアプリの趣頭条と女性向けファッションECモールの蘑菇街はいずれも73%の下落となり、時価総額の3分の2を失った。中国EVメーカーの蔚来汽車(NIO)やライブコマースアプリケーションの映客(Inke)などの人気企業も50%以上下げた。

 一方、上場初日終値が13日終値を上回った企業は、動画共有サイトの嗶哩嗶哩(ビリビリ)、愛奇芸(アイチーイー)、虎牙(HUYA)のほか、ネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)傘下の騰訊音楽(テンセント・ミュージック)、旅行予約サイトの同程芸竜、販促サイトの微盟(ウェイモブ)の6社のみ。上位3社の微盟、虎牙、ビリビリの上げ幅はそれぞれ53%、41%、31%だった。

 資産管理会社の架橋資本で投資ディレクターを務める徐可瑞(Xu Kerui)副総経理は、これら46社のほとんどが革新的なビジネスモデルを展開する企業で、同種の企業はここ数年の株式市場のバブル化を背景に投資家の「寵愛(ちょうあい)」を受けてきたと指摘。ただ、足元では市場は落ち着きを取り戻しており、これら企業も本来の企業価値を反映した「正常な株価」に戻りつつあるとの見方を示した。

 徐氏は「新しい経済モデルが出現すると、バブル化と落ち着きを取り戻す展開が必ず繰り返される。だが、バリエーションは最終的に落ち着きを取り戻し、株価にも本来の企業価値が反映される。こうした現象は、技術の革新こそが未来であり、ビジネスモデルの革新は絵に描いた餅でしかないことを証明した」とも語った。

 一方、投資管理会社、道格資本の劉輝(Liu Hui)総裁は、多くのニューエコノミー企業は市場で資金を調達する際、投資家に対して夢のある話をするが、上場後にこうした話が実現することはない上、いわゆるニューエコノミー企業は珍しい存在ではなくなり、市場心理も以前ほど高揚しなくなったと説明。こうした要因が苦戦につながっているとの見方を示した。

 ▽PEファンド、ビジネスモデルの転換図る

 PEファンド、基岩資本の杜坤(Du Kun)副総裁は、投資機関がリスクを避けるためには、企業価値を明確に認識する必要があると指摘。利益を出すためには株式の取得価格が非常に重要だとした上で、相場が過熱しバリエーションが高騰しているときはそれに乗らず、相場が落ち着いてバリエーションが適正になったときに手を出すよう注意を促した。ほとんどの場合、企業価値の見極めが投資機関の勝敗を左右するという。

 劉氏は、中国の国内投資家は企業の運営能力やキャッシュフローを獲得する能力に注目する必要があると強調。赤字を顧みず資金をつぎ込むだけの企業に対しては慎重な姿勢が必要だとした上で、なりふり構わず資金をつぎ込んで高バリエーションを保つという従来の手法は立ち行かなくなっていると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News