【7月13日 AFP】米国の宇宙飛行士、ニール・アームストロング(Neil Armstrong)氏が月面に降り立ち、「人類にとっての偉大なる飛躍」を成し遂げてから間もなく50年がたつ。リチャード・ニクソン(Richard Nixon)米大統領は、アポロ11号(Apollo 11)とアポロ17号(Apollo 17)が地球に持ち帰った石やソイルを、全米50州と当時のすべての国、計135か国に月の土産として贈った。米粒大のものやビー玉大のものなど、その大きさにばらつきはあったが、月の石は「親善のしるし」となった。

 だが実際には、その所在が分からなくなってしまっているものも多い。そのような行方不明となっている月の石を捜す米国空宇宙局(NASA)の元特別捜査官、ジョゼフ・ガットヘインズ・Jr(Joseph Gutheinz Jr)氏(63)は、いわば「ムーンロックハンター」だ。

 ガットヘインズ氏は月の石を捜すなかで、クーデター、紛争、暗殺、政変といった、各国における半世紀分の歴史を目の当たりにしてきた。

 本職である弁護士の仕事をする傍ら、大学で刑事司法を教えている同氏は、おとり作戦を通じて実際に石を1個取り戻したことがある。また受け持つ学生らもその課題のなかで、これまでに78個の月の石の行方を突き止めているという。

 1969年7月20日に月面着陸に成功したアポロ11号と1972年12月に成功したアポロ17号は、合計382キロの月の石を地球に持ち帰った。月の石は透明なアクリル樹脂に封入され、月と地球とを往復したミニチュアサイズの国旗と共に木製の盾に取り付けられて、各国に贈られた。

  だがその多くは、盗まれたり、行方不明になったり、壊されたりしてしまったとされ、中には高額で売却されて個人収集家の手に渡っているケースもあるという。