【6月13日 AFP】中米原産の魚、コンビクトシクリッドは体長わずか数センチと小さいが、大きな心を持っているかもしれない。

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 フランスの研究チームは、一夫一妻の関係でパートナーに誠実なことで知られるこの熱帯魚が、意中の相手と離ればなれにされると悲観的になることを発見した。

 特に悲観的になるのは雌で、実験で意中の雄以外とつがいにさせられた雌は「悲観的な」行動を見せたという。

 コンビクトシクリッドのような魚類は進化の過程にわたって、捕食者の攻撃に極めて弱い幼い個体をよりうまく守る手段として誠実なパートナーシップを発展させてきたと、研究者らは考えている。

 意中の相手との別れに対する心の反応を効果的に測定するため、仏ブルゴーニュ大学(University of Burgundy)の研究チームは水槽の両側に二つの箱を設置し、口を使って開けられるように雌を訓練した。

 そして「ポジティブ」な箱には餌を入れ、「ネガティブ」な箱には何も入れずにおいた。魚が両者を区別しやすいように、それぞれの箱には黒か白のふたを付けた。さらに水槽の中央に灰色のふた付きの「あいまい」な箱を設置し、雌の反応を観察した。

 その結果、楽観的な個体は餌を取るために灰色のふたの箱を開こうとしたのに対し、悲観的な個体はふたを開けるのをちゅうちょしたり、閉じたまま放置したりすることが分かったという。

 英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)に発表されたこの研究によると、雌は意中の雄が同じ水槽にいる場合には、灰色のふたを開くためにより多くの時間を費やしたという。(c)AFP