【6月11日 AFP】米カリフォルニア州議会は9日、公的医療保険制度の適用範囲拡大のため約1億ドル(約110億円)の支出を承認した。これによって同州は、不法移民の一部も公的医療保険の対象とする米国初の州となる。

 民主党が支持したこの政策により、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権時代に拡充された同州の低所得者向け公的医療保険制度「Medi-Cal」を通じて、19~25歳の成人が医療を受けることができようになる。

 議会での数か月にわたる折衝の末、2130億ドル(約23兆円)の2019~20年州予算から、同政策に約1億ドルを支出することで合意に達した。この予算は今週中に承認され、7月から執行される。

 Medi-Calの適用範囲拡大は来年1月から実施され、新たに9万人が対象となる。各国の国内総生産(GDP)と比較すると世界第5位の経済規模を誇る同州は、財政黒字が過去最高の200億ドル(約2兆2000億円)以上となっていることもあり、今回の措置が可能になった。

 同州議会で多数を占める民主党は当初、在留資格に関係なくすべての低所得者の成人をMedi-Calの適用対象にすべきだと提案。しかし、ギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)知事が、その提案では推定34億ドル(約3700億円)という高額な予算が必要となるとしてちゅうちょしていた。

 共和党は、米国民に不当な税負担を強いるとして、民主党の提案を批判していた。(c)AFP