【6月11日 AFP】寝室のテレビや照明をつけたまま寝る女性は太りやすい可能性があるとの最新の研究結果が10日、発表された。

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 米国医師会(AMA)の医学誌「JAMAインターナル・メディシン(JAMA Internal Medicine)」に掲載された今回の研究論文は、米国女性4万4000人近くを対象とする調査に基づいている。調査参加者には5年後に追跡調査を実施した。

 研究では、参加者の女性を夜間の人工光への暴露(ALAN)の程度に応じてグループに分けた。人工光の光源は、小型の常夜灯や時計付きラジオ、窓から差し込む街灯の光、テレビ、室内用照明などさまざまだった。

 寝室のテレビや照明をつけたまま寝る女性は、調査期間内に体重が5キロ以上増加する確率が17%高かったことが、今回の主な研究結果の一つといえる。睡眠時間、食事、身体活動などの因子について調整を行った後でも、この相関関係は強いままだった。

 論文の執筆者らは、結論として因果関係を導き出せたわけではないと注意を促しつつも、暗い部屋で睡眠を取ることを後押しする証拠が増えつつあり、今回の結果もその一つに加えることができると指摘している。

 米国立環境衛生科学研究所(NIEHS)のデイル・サンドラー(Dale Sandler)氏、ヨンムン・マーク・パク(Yong-Moon Mark Park)氏と共同執筆者らは、論文で「肥満を減らすための公衆衛生戦略に、睡眠中のALANを低減するための介入を含めることも検討したら良いのではないか」と提言している。

 睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が光によって抑えられた結果、概日リズム(体内時計)や食事パターンに混乱が生じた可能性があると、論文執筆者らは示唆している。

 この他、光が、食物摂取量の調節に関与するグルココルチコイドなどストレスホルモンの分泌を妨げる「慢性ストレス因子」として作用している可能性や、代謝に直接影響を与える別のメカニズムが働いている可能性もある。

 調査データは自己申告によるものであり、光度も不明であることから、今回の研究結果にはいくつかの制約があることを論文執筆者らは認めている。

 さらに、人工光への暴露量が多いことは「社会経済的に不利なことや不健康な生活習慣があることなどさまざまな尺度も反映しており、これらすべてが体重増加や肥満の一因となり得る」という。

 英サリー大学(University of Surrey)のマルコム・フォン・シャンツ(Malcolm von Schantz)教授(時間生物学)は、今回の論文について「同一の個人の調査開始時と5年後以降の体重を比較する長期的調査であることがこの論文の新奇性だ」とコメントしている。

「今回の最新の研究成果は、良好な睡眠衛生を維持し、寝室での人工光や電子機器などの妨害刺激を回避するようにとの助言を変更するものではなく、この助言の正当性をさらに強化するものだ」と、フォン・シャンツ氏は続けた。(c)AFP