【6月10日 AFP】スーダンで民政移管を要求するデモ隊の強制排除で多数の死者が出てから1週間となった9日、治安部隊が市民的不服従運動の取り締まりに乗り出し、4人が死亡した。

 首都ハルツームではデモ隊が道路にバリケードを構築し始め、その他の市や町では市場や商店が閉められた。デモ隊に近い医師委員会によると、ハルツームで起きた衝突で2人が死亡したほか、ナイル川(Nile River)を挟んで隣接するオムドゥルマン(Omdurman)市でも2人が死亡した。

 スーダン保健省は、3日の強制排除による全国の死者は61人で、うち49人がハルツームでの「実弾」による犠牲者だったとしている。しかしスーダン医師中央委員会(Central Committee for Sudanese Doctors)は、新たに4人が死亡したことで、軍本部前で座り込みをしていたデモ隊が強制排除された今月3日以降の死者は118人になったと明らかにするとともに、4人の死は暫定軍事評議会を支持する勢力によるものだと非難した。

 ハルツーム北部のバハリ(Bahari)地区では9日朝に抗議行動が始まり、住民がタイヤや木の幹、岩などを集め、新たにバリケードをつくった。だが目撃者によると、すぐに警察の機動隊が来て空中への威嚇射撃やデモ隊への催涙ガス発射を行った後、バリケードを撤去した。抗議行動に参加した機械工学の学生(20)は、「彼らが道を通れるようにすると僕たちが道をふさぐ。また彼らが道を開くとさらに僕たちが道をふさぐ。いたちごっこですよ」と話した。

 昨年12月に、オマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)前大統領に対する抗議デモを最初に始め、反政府デモを主導してきたスーダン専門職組合(Sudanese Professionals Association)は、民政移管が実現するまで市民的不服従運動を続ける構えだ。

 市民からは、生活が困難になったが市民的不服従運動を支持するという声が聞かれた。野菜販売業のハッサン・アブデルラヒム(Hassan Abdelrahim)さんは、「バリケードのせいで野菜を買いに市場に行くことができない」と話した。「収入は減るが、もう6か月も通りに出てきている若い人たちを見ると、収入が減ったとしても怒る気にはならなない」

 ハルツームの住民らは軍服を着た男たちがデモ隊のキャンプを襲った今月3日以降、ほとんど家の中で過ごしている。

 著名ジャーナリストのオスマン・ミルガニ(Osman Mirghani)氏は「スーダンの治安はバシル政権時代よりも悪くなっている」と指摘。さらに今月3日のデモ隊の強制排除について「座り込みを排除したあのやり方。あの流血は犯罪だ。そして遺体をナイル川に投げ込んだあのやり方。あのような犯罪をして罰されない者がいてはならない」 と話し、流血の事態を受けて抗議運動はより強くなっていると述べた。

 映像は9日撮影。(c)AFP