【6月7日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2019)の主催者は6日、女子シングルス準決勝の2試合をセンターコートのコート・フィリップ・シャトリエ(Court Philippe-Chatrier)で行わないと決定し、この待遇が性差別的だとして、関係者から「不公平で不適切」かつ「恥ずべきこと」との批判にさらされた。

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 雨に見舞われて5日の試合が全て中止となったことにより、女子シングルス準々決勝は残り2試合が6日に行われ、準決勝は7日にずれ込むことになった。

 しかし、4強入りを果たしたアシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)とアマンダ・アニシモバ(Amanda Anisimova、米国)はコート・スザンヌ・ランラン(Court Suzanne Lenglen)で対戦することになり、第26シードのジョアンナ・コンタ(Johanna Konta、英国)とマルケタ・ボンドロウソバ(Marketa Vondrousova、チェコ)は5000席規模のコート・シモーヌ・マチュー(Court Simonne-Mathieu)に移動することになった。

 一方、男子シングルスの準決勝は予定通り、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)とラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)の一戦に加え、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)とドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)の試合が、いずれも1万5000席を誇るコート・フィリップ・シャトリエで行われる。

 女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン(Steve Simon)最高経営責任者(CEO)は、この決定を受けて、「女子の準決勝2試合がアウトサイドのコートで行われることになり、非常にがっかりしている」とすると、「女子の4選手は素晴らしいプレーでここまで勝ち上がり、最も大きな舞台で試合をする権利がある」と述べた。

「ファンと選手全員の双方にとって利益につながる解決策が、他にあると信じている」

 女子の準決勝は当初木曜日(6日)に予定され、土曜日(8日)の決勝とともに、改修されたコート・フィリップ・シャトリエで行われることになっていた。一方、男子の準決勝は金曜日(7日)、そして決勝が日曜日(9日)に行われるのが慣例となっていた。

 ところが、5日に全試合が流れてしまったことで男子の準々決勝2試合も6日夜にずれ込み、スケジュールが大混乱に陥ってしまった。さらに7日も雨が予想されていることから、女子の決勝が9日、男子の決勝が10日になる恐れが出てきている。

 しかしながら、女子の元世界ランク1位で四大大会(グランドスラム)通算2勝を誇る39歳のアメリー・モウレズモ(Amelie Mauresmo)氏は、女子の準決勝が違うコートに移されことについて、「大会にとっては恥ずべきこと」と糾弾した。

「フェデラー対ナダルの試合が当日の目玉であるのは、全員が納得している」「だけど、女子の準決勝2試合を第2、第3コートの午前11時に決めたのはいったいどういうつもり?」「センターコートで試合しないの?」

 モウレズモ氏は、女子と男子の準決勝をシャトリエと1万席のランランに平等に振り分けるべきだとして、「ランランとシャトリエで午後1時から女子の2試合を組んで、その後男子の試合をすればいい話」と主張した。

 2007年の全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)でチェコのニコル・バイディソバ(Nicole Vaidisova)氏が成し遂げて以来の年少記録でグランドスラム4強入りを果たした17歳のアニシモバは、センターコートでプレーできなくなったことを最初に告げられても特に異論はなく、「どちらの試合もシャトリエじゃないの? 知らなかった」「実のところ、あしたもプレーすることになって本当に喜んでいる」とコメントした。

 一方、今大会で4強入りを果たした中では最も高い第8シードのバーティは、自身初のグランドスラム準決勝がランランのコートに変更され、「シャトリエでプレーするのを心から望んでいるのは確か」と悔しさをにじませる一幕もあった。

「個人的には、準決勝に進めてとてもわくわくしている。どのコートでプレーすることになっても関係ない」「そうね、もちろんシャトリエではすごくプレーしたい。とても美しいコート。だけど、言ってみれば私たちは4人とも試合に出て楽しむ準備はできている」 (c)AFP/Dave JAMES