【6月2日 AFP】フィリピン南部ホロ(Jolo)島で5月31日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系のイスラム過激派「アブサヤフ(Abu Sayyaf)」に人質として拘束されていたオランダ人のバードウオッチャーが、アブサヤフとフィリピン軍の間で起きた銃撃戦で死亡した。フィリピン軍が明らかにした。軍は、このオランダ人男性は脱出を図った際に戦闘員に撃たれたと述べている。

 死亡したオランダ人のエウォルド・ホーン(Ewold Horn)さんは、アブサヤフの身代金目当ての誘拐グループに2012年から拘束されていた。先月31日にアブサヤフが拠点にしているホロ島で起きた90分間にわたる軍の兵士と戦闘員らの銃撃戦でホーンさんは致命傷を負い、死亡した。

 オランダ外務省は、ホーンさんが「銃撃戦」で死亡したことを認め、亡くなった際の正確な状況を調査していると述べた。

 ホーンさんについてフィリピン軍は、31日朝に起きた銃撃戦の最中、アブサヤフから逃れようとした際に見張りの一人に撃たれたと発表。この報告について、別の情報筋から裏を取ることはできなかった。

 フィリピン南部は多数の武装勢力の拠点となっている。うち複数の勢力は、キリスト教徒が多数を占める同国の南部でイスラム国家建設を目指して数十年前に始まった運動に加担している。

 ホーンさんは、珍しい野鳥を撮影するため、人里離れた南部のタウイタウイ(Tawi-Tawi)諸島で長旅をしていたところ、身元不明の武装集団に誘拐され、その後アブサヤフに引き渡された。

 ホーンさんと一緒に拘束されていたスイス人のロレンツォ・ビンチグエラ(Lorenzo Vinciguerra)さんは2014年、軍と戦闘員の銃撃戦の間に脱出に成功していた。

 映像は、死亡したホーンさんの棺を運ぶフィリピン空軍の軍用機。31日撮影。(c)AFP/Cecil MORELLA