【6月4日 Xinhua News】中国の科学者が安徽省(Anhui)東至県(Dongzhi)華龍洞(Hualongdong)で発見した今から約30万年前の古人類の化石は、東アジアの人類の連続した進化を研究するうえで、新たに重要な証拠をもたらしたかもしれない。

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の劉武(Liu Wu)氏と呉秀傑(Wu Xiujie)氏、裴樹文(Pei Shuwen)氏、および同科学院地球環境研究所の蔡演軍(Cai Yanjun)氏らはこのほど、華龍洞で出土した古人類化石に関する研究論文を「米国科学アカデミー紀要」に発表した。

 呉氏は「華龍洞では古人類の化石30点余り、彼らが制作し使用していた石器100点余り、哺乳動物の化石40点余りを相次ぎ発見した。切断や砕かれた痕跡のある大量の動物の骨も見つかった」と説明した。

 呉氏によると、華龍洞はただ単に古人類化石が見つかっただけの他の遺跡と異なり、古人類がここで生活していたことを示す多くの「証拠」も見つかったと指摘。彼らの生活や活動の様相を如実に示していると述べた。

 2015年10月、華龍洞の入り口にある巨大な石の下の堆積物を片付けていた作業スタッフとボランティアは、膠結(こうけつ)物に覆われた化石を見つけた。特徴が明確でなかったため最初はただの「牛の頭」と考えていたが、1週間後に呉氏が化石を整理していると、この化石の露出部分が古人類の頭蓋骨の眼窩(がんか)上部に非常に似ていることに気がついた。簡単な修復を経て頭蓋骨の特徴はいっそう鮮明になった。

 復元された古人類の頭蓋骨化石には、ほぼ完全な顔面部と脳頭骨の大部分、顎の骨の片側が含まれる。研究者は歯の生え方と摩耗状況に基づき、頭蓋骨が約14~15歳の少年のものであると推定している。脳容量は約1150ミリリットルで、現在の人の脳容量1300ミリリットルに近かった。

 研究者らはこれまで、華龍洞で16個体にあたる古人類化石30点余りを発見した。これらの化石とともに見つかった100点余りの石器は、彼らが当時、積極的に環境へ適応できていたことを反映している。

 研究者らは、化石と地層サンプルの測定に基づき、最終的に古人類化石の年代を今から数えて33万1000年~27万5000年前のものと確定した。(c)Xinhua News/AFPBB News