【5月29日 AFP】ニュージーランドで今年3月に発生したモスク(イスラム礼拝所)での銃乱射事件をめぐり、イスラム教徒の移民に対する攻撃的な発言をしたオーストラリアの極右議員に卵をぶつけて一躍有名になった10代の少年が、訴訟費用などへの充当用にと自身に対して寄せられた募金約10万豪ドル(約760万円)を、同事件の被害者らに全額寄付したことを明らかにした。

 ニュージーランドでの銃乱射事件では、イスラム教徒51人が犠牲になった。物議を醸す発言で知られていたフレーザー・アニング(Fraser Anning)元上院議員は、同事件はイスラム教徒が移民として入国してきた結果だと発言し、激しい怒りを買っていた。アニング氏はその後、議席を失っている。

 そのアニング氏が記者会見を行っている最中に頭に生卵をぶつけたのが、ウィリアム・コノリー(William Connolly)さん(17)。メディアはコノリーさんを「エッグ・ボーイ(卵少年)」と呼び、大きく取り上げた。

 その後コノリーさんのために、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」上で訴訟費用および「追加の卵代」の寄付を募るページが開設され、たちまち多くの募金が集まった。

 コノリーさんは28日夜、インスタグラム(Instagram)上に「集まったお金を全額寄付することに決めました…ぼくが取っておくお金ではなかったので」と投稿。被害者支援団体に贈られた額は9万9922.36豪ドルに上ったとしている。

「あの悲劇の犠牲者の皆さんへ。これが少しでも皆さんの助けになればと心から願っています」と、コノリーさんはつづっている。(c)AFP