【5月25日 AFP】(写真追加)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が25日、国賓として来日する。4日間の滞在で、温かい歓迎の声と友好的な印象に包まれることになりそうだが、貿易問題での実質的な進展はなさそうだ。

 トランプ氏は、今月初めに即位した天皇陛下と27日に会見する。今回の訪問で最重要項目とされている。

 しかし、最も見応えのありそうなイベントは、26日に予定されている大相撲夏場所千秋楽の観戦だ。優勝した力士にはトランプ氏から杯が贈呈される。神聖な場である国技館にトランプ氏が登場することで、トランプ氏をどこに座らせるか、横綱が負けて観客が一斉に座布団を投げた場合にいかにしてトランプ氏を守るか、といった点まで、段取りや安全、外交儀礼などの面で悩みは尽きない。

 トランプ氏と安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、相撲観戦の前にゴルフを楽しむ予定。相撲観戦後は、両首脳夫妻がそろって東京の歓楽街・六本木にある、2本で5184円の最高級サーロインビーフの串焼きなどを供するレストランへと向かう。

 安倍首相は、最近米首都ワシントンを訪問したばかり。一方でトランプ氏は、来月大阪市で開かれる20か国・地域(G20)首脳会議で再び日本を訪れる予定だ。トランプ政権の高官は匿名で取材に応じ、「短期間でのトランプ氏の2回にわたる訪日と、安倍氏の訪米は、両国関係がいかに緊密かを示している」と述べた。

 日本の外交官は、双方が頻繁に訪問し合っていることについて、「日米首脳間の個人的な友好関係が、前例のないほど強いレベルにあることを示している」と語った。

 トランプ氏来日中の公式な外交行事は、27日に短時間行われる首脳会談とワーキングランチ、その後の共同記者会見のみ。両首脳は、冷戦(Cold War)時代の北朝鮮による日本人拉致被害者の家族とも面会する。トランプ氏は、在日米軍基地も訪問して日米の同盟関係を強調する。

 しかし専門家らは、日米が対立している主な課題である貿易問題で大きな進展はないだろうとみている。ロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)米通商代表は今回のトランプ大統領訪問に合わせて日本側と会談するが、安倍首相は数か月後に参議院選挙を控えており、トランプ氏は中国の間で貿易摩擦を抱えていることから、双方とも譲歩することは避けるとみられる。(c)AFP/Richard CARTER