【5月25日 Xinhua News】中国の科学者が率いる国際科学チームはこのほど、数百万年前の準惑星の衝突が月の「姿」に影響を及ぼし、地球から見た月の表側と裏側の全く異なる「二つの表情」をつくり出した可能性があるとの研究成果を発表した。

 研究成果はこのほど米国の惑星科学専門誌「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ:プラネッツ」に掲載された。

 月の地殻の厚みは不均一で、表側が薄く、裏側が厚いことは惑星科学者の間では知られていた。マカオ科技大学宇宙科学研究所の祝夢華(Zhu Menghua)氏とドイツ、米国、フランスの科学者の研究により、この現象が太陽系の軌道を周回する若い準惑星と月の衝突によって形成された可能性が高まった。

 祝氏のチームは米航空宇宙局(NASA)の月探査機グレイルが2012年に取得したデータを分析した。科学者たちはデータを基に月の重力場地図を作成し、月の山やクレーター、盆地などの地形学的特徴と組み合わせることで、月の外殻から内核に至る内部構造を推測し、そこから月の進化過程を再構築して、内部の物質の組成を確認した。

 研究者がデータを使ってコンピューターでシミュレーションしたところ、準惑星ケレスよりやや小型の直径約780キロの天体が時速2万2500キロの速さで、地球から見て表側に衝突したという状況が最も符合した。もう一つの可能性としては、直径約720キロの天体が時速2万4500キロの速さで表側の月面に衝突したというパターンも考えられるという。

 研究結果は、2パターンの衝突のいずれによっても大量の物質が発生し、これらの物質が月の裏側の地殻上に降り注ぎ、厚さ5~10キロの破片堆積層を形成したことで、月の表側と裏側の厚みの不均一を生み出したと結論付けた。

 このモデルはまた、月の表面のカリウムやリン、タングステン182など元素の同位体が地球の表面と異なる理由を説明するのにも役立つ。これらの元素は衝突によって発生したと考えることができるという。(c)Xinhua News/AFPBB News