【5月23日 AFP】米ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)のビルの屋上から、赤い服を着た「侍女」が今にも身投げしそうだ──こんな投稿が今週、ツイッター(Twitter)かいわいを騒然とさせた。

 米国内で妊娠中絶規制法が相次いで成立している事態に動揺した人かもしれない、というのが、発端となったニューヨーク出身の若者の考えたことだった。

 セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が続き、中絶規制の動きが強まる中、米国などではここ数か月、人気TVドラマシリーズ「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語(The Handmaid's Tale)」に登場する赤い衣装を着た女性たちによる抗議デモが展開されている。

 カナダ人作家マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)が1985年に発表したディストピア小説を原作とするこのSFドラマは、宗教国家と化した近未来の米国で、女性たちが子供を産むための奴隷とされ、制度の下でレイプされている世界を描いている。

 投稿がツイッターをにぎわせた21日も、米各地では中絶の権利を訴えるデモが行われ、赤い服に白い帽子の「侍女」の装いで参加する人々の姿が見られた。ニューヨーク市警(NYPD)の発表によると、こうした背景からケーシー・マコーミック(Casey McCormick)さんは、マンハッタンのパーク街(Park Avenue)27丁目のビルの屋上から「侍女」が今まさに飛び降りようとしているのを見たと勘違いしたという。

 だが、マコーミックさんの通報を受けて駆け付けた警官2人がビルの屋上の端で見つけたのは、女性ではなく、赤いパラソルだった。その先端は白く、ちょうど「侍女」の帽子のようだったという。

 マコーミックさんは、ビルの上の赤い「人影」を遠くから捉えた写真と、パラソルを手に笑みを浮かべる警官の写真を並べてツイッターに投稿し、事のいきさつを語った。この投稿をニューヨーク市警がリツイート。「ハンドメイズ・テイル」に繰り返し登場するせりふをもじって「傘に祝福あれ」と投稿した。

 マコーミックさんのツイートには22日までに「いいね」が23万5000件付き、7万1000回リツイートされた。(c)AFP