【5月21日 AFP】欧州議会(European Parliament)選挙を目前に控えた英国で、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)を推す右派ポピュリストの台頭に抗議する手段として、意外なものの使用が目立っている。それは「ミルクセーキ」だ。

 20日には、右派・英独立党(UKIP)の元党首で、新党「ブレグジット党(Brexit Party)」を率いるナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)氏も、北部ニューカッスル(Newcastle)で選挙運動中に「ミルクセーキ抗議」の標的となった。

 ソーシャルメディアでは、黒のスーツを着たファラージ氏が肩から足までミルクセーキを浴び、顔をしかめる様子を捉えた写真が拡散した。

 容疑者の男(32)は英通信社プレス・アソシエーション(PA)に対し、ファラージ氏が「ここにやって来ていることを知らなかったのだが、これが自分に与えられた一度きりのチャンスだと思った」と話した。男は警察に身柄を拘束され、翌21日に一般暴行と器物破損の罪で訴追された。

 これについてファラージ氏はツイッター(Twitter)で、「正規の選挙活動が不可能になりつつあるほど過激化している」EU支持派を非難した。

 欧州議会選は、ブレグジットに対する英国人の支持を測る試金石の様相を示しており、ファラージ氏のブレグジット党は、何としてでも早急にブレグジットを実現すると公約に掲げ、支持率調査では首位に立っている。

 ファラージ氏の他にも、複数の政治家がファストフード大手マクドナルド(McDonald's)のミルクセーキなどを浴びており、同社は、ファラージ氏が先週訪れた選挙活動の会場周辺でのミルクセーキの販売を一時中止した。

 エディンバラ中部にある店舗の入り口には、「今夜はミルクセーキやアイスクリームは販売しません」との張り紙が出された。「最近発生した出来事を考慮し、警察からの要請」と説明している。

 一方、同社に競合するバーガーキング(Burger King)はソーシャルメディアで「弊社は週末の間ずっとミルクセーキを販売します。楽しんで」と投稿。ただこれには怒りのコメントが集中し、後に「弊社は暴力行為を容認しません─弊社のおいしいミルクセーキを無駄にすることも!」と補足した。

 一連の出来事を受けて、テリーザ・メイ(Theresa May)首相の報道官は、「政治家が嫌がらせや脅迫、暴力行為を受けずに職務や選挙活動に取り組めるべきだと、メイ首相は一貫して訴えてきている」と述べた。(c)AFP/Dmitry ZAKS