【5月20日 AFP】接戦が予想されている欧州議会(European Parliament)選挙を1週間後に控えたフランスを、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の元首席戦略官であるスティーブ・バノン(Steve Bannon)氏が訪問していることが19日、明らかになり、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領率いる与党が不快感を示すなど、フランス国内の政治的緊張が高まっている。

 26日に迎える欧州議会選をめぐり、フランス国内では、マクロン氏の中道派政党「共和国前進(REM)」が、マリーヌ・ルペン(Marie Le Pen)氏率いる「国民連合(RN)」から激しい攻勢を受けるとみられている。

 マクロン派は同大統領を、欧州各地で台頭する極右に相対する、中道派の救済者と見ているが、今回の選挙で共和国前進が国民連合の後塵(こうじん)を拝するようなことがあれば、マクロン大統領にとって大打撃となる。

 バノン氏は18日、パリジャン(Le Parisien)紙の取材に対し、欧州連合(EU)加盟国のうち、欧州議会選で「圧倒的に」最も重要なフランスを訪問先に選んだと語った。

 さらにバノン氏は今回の選挙について、マクロン氏および同氏が掲げる欧州のビジョンへの国民投票という位置付けになるという見方を示すとともに、選挙当日には「激震」が走ると予言した。

 共和国前進のステファヌ・セジュルネ(Stephane Sejourne)選対本部長は、バノン氏がルペン氏の国民連合を応援しようと首都パリを訪れ高級ホテルに滞在しているとして、「選挙における主権への攻撃だ」と非難した。

 またエドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は、「私が理解できないのは、国民と国家を守ると言いながら、その一方で欧州を弱体化させることにしか関心がない人々を連れてくるフランス人がいることだ」と指摘した。(c)AFP/Christophe SCHMIDT