【5月18日 AFP】トルコ当局が勾留施設内で自殺したと発表したパレスチナ人の被告の遺体が、舌を抜かれるなど激しく損傷していたことを、遺族が17日、明らかにした。

 この遺族によれば、亡くなったザキ・ムバラク(Zaki Mubarak)被告(55)はパレスチナの元情報機関職員で、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)がパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するようになってから2007年に同地区を離れ、その後、ブルガリアとトルコを拠点にしてきたという。

 ムバラク被告は先月、サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が昨年イスタンブールにあるサウジ総領事館内で殺害された事件に関連していた容疑で、やはり情報員とみられる別の人物とともにトルコ当局に逮捕されていた。同国の半国営アナトリア(Anadolu)通信によると、ムバラク被告はその後、「軍事的・政治的」および「国際的なスパイ活動」で正式に起訴された。

 メディアの間ではムバラク被告が、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長の元側近ながら現在は対立関係にあり、UAEに拠点を置くムハマド・ダハラン(Mohammed Dahlan)氏とつながりを持つとの観測が出ていた。

 トルコ当局は同じく先月、同被告がアラブ首長国連邦(UAE)のために情報活動を行っていたと追及された後、勾留施設内で自殺したと発表した。

 ムバラク被告の遺体は今週、エジプトに搬送された。首都カイロの病院で遺体と対面した、同被告のきょうだいで同市在住のザカリア(Zakaria)さんはAFPに対し、「舌を抜かれ、頭には殴られた痕、足には深い切り傷、胸部には強打された痕跡があった」と話した。

 トルコ法務省の高官は、遺族の申し立ては「事実無根」と反論。当局はムバラク被告がカショギ氏殺害事件に関連していたとして調べを進める一方、遺族はそうした主張を否定している。(c)AFP