【5月18日 AFP】プール付きのモダンな別荘から、機材の充実した映画撮影スタジオやカジノまで…台湾では古くから、祖先があの世で裕福な暮らしを送れることを願い、豪華な紙製の供え物を燃やす習慣がある。

 そうした供え物は伝統的に金銭や金の延べ棒をかたどったものが多かったのだが、近年では「iPad(アイパッド)」や携帯電話、食器洗浄機、車、テレビ、クレジットカードなど、より現代的なものに様変わりしてきた。

 一部の製造業者は、この世で真に裕福な著名人だけしか体験できない品々をかたどった供え物の製作に取り組み、新たな地平を切り開いている。

 業界歴30年というリン・チェンチャン(Lin Chien-chiang)さん(55)は、消費者の好みはますます多様化していると話す。

 中にはミニチュアの銀行やスペースシャトル、さらにはカジノを併設した娯楽施設や体にぴったりしたドレスを着た女性がいるクラブといった注文もある。最も人気が高いのは、スマートフォンやノートパソコンといった電子機器や、米ドルの札束や金の延べ棒、クレジットカードなどが詰まった金庫だという。

 リンさんの会社は台北で現在も、紙と竹を使った中国式の家形の供え物を製作している数少ないメーカーの一つ。だが、かつて材料に発泡スチロールが使われていたことから環境への懸念が高まり、家形の供え物は今ではあまり人気がなく、注文は全体の20%に満たないという。

「環境に優しい材料を使って、今の時代に合うコンパクトで多様な商品をつくるよう努めている」とリンさんは語った。(c)AFP/Amber WANG