【5月14日 CNS】近ごろ、中国のネット通販・物流大手の京東(JD.com)が配達員の基本給を撤廃したニュースが注目されている。記者が複数の宅配配達員を取材したところ、得られた回答はほぼ同じで「基本給ゼロ」だった。

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 京東の配達員は取材に対し、「3か月前に基本給は無くなった」と答えた。同社配達員には入社後3か月間の「適応期」があり、この期間内には基本給があるが、期間を過ぎると基本給は無くなる。仕事の内容は宅配荷物の配達と引き取りで、担当地域は固定され、社会保険5種と住宅積立金に加入できる。

 韻達(Yunda Express)の配達員の陳さんは記者に対し、「基本給は無い。どこでも同じだよ。うちは社会保険5種と住宅積立金の加入は無い」と言う。「韻達」の場合は初めの1か月のみ基本給があるが、1か月を過ぎると基本給はゼロになって担当地域を持つことになり、社会保険関連は傷害保険だけ加入。宿泊費と食費は会社持ちだという。

■ 給与水準はどうなのか

 給与は幾らになるのか。京東の配達員は「毎月8000~9000元(約13万3000円~15万円)くらいだ」という。韻達配達員の陳さんも、月々の給与は大体8000元前後だという。

 月収が1万元近く得られる裏側には、高い労働強度がある。配達員の労働時間は毎日、ほぼ12時間を超える。

「ものすごく疲れるよ。私が働き始める前に何人も辞めている。誰にでもできる仕事ではない」と韻達配達員の陳さんは言う。「勤務時間の長さより重要なのは、引き取り荷物の注文が入ったらすぐに行かなければならないことだ。遅れたら即、罰金。私の受け持ち地域は特に広く、あちこちを走り回り、階段を上ったり下りたりで、ものすごく疲れる」。引き取り荷物は、毎日80件ほどあるという。

 アリババ系宅配アプリの菜鳥裹裹(Cainiao Guoguo)の規定によると、顧客からの荷物引き取り依頼を受領後、2時間以内に引き取りに行くとしている。京東の場合、同じ都市内の配達は1時間以内、3キロ以内の場合最短で30分以内の配達が可能だとしている。宅配業の配達時間と効率に関する要求は、これほどに厳しいのだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News