【5月7日 AFP】米ニューヨークは「キラー小惑星」の衝突により廃虚と化す――このような天体の地球衝突回避シミュレーションの結果が3日、米メリーランド州で開催された「地球防衛会議(Planetary Defense Conference)」で明らかにされた。

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 このシミュレーションは同会議で恒例となっており、2013年には南仏コートダジュール(French Riviera、フレンチリビエラ)が壊滅し、2015年にはバングラデシュの首都ダッカが破壊されたが、2017年の東京は衝突を免れた。

 今回の米国への衝突については、準備期間が8年あったにもかかわらず、科学者や技術者は小惑星の軌道をそらすことはできなかった。

 シナリオは米航空宇宙局(NASA)の航空宇宙技術者が設計したもので、4月29日に米首都ワシントン近郊で、直径100~300メートルの小惑星が発見されたという警告で始まっている。会議では連日、天文学者、技術者、緊急対応専門家ら約200人が、シナリオに基づきシミュレーションを行った。

 当初、小惑星が8年後の2027年4月29日に地球に衝突する確率は1%と概算されていたが、数か月で10%に上昇し、その後100%にまで達した。

 シミュレーション内でNASAは2021年、小惑星の近くから脅威を調査するために探査機を打ち上げる。その年の12月に天文学者らは、小惑星が米西部コロラド州デンバー(Denver)にまっすぐ向かっており、このままではデンバーが破壊されるとの結論に至った。

 米国、欧州、ロシア、中国、日本などの宇宙大国は、無人宇宙船「キネティック・インパクター」6隻を衝突させ、小惑星の軌道をそらすことを決めた。だが、建造に時間がかかり、打ち上げについても適切な時期を待つ必要があったため、打ち上げは2024年8月の予定となった。

 インパクターのうち3隻は小惑星への衝突に成功し、軌道をそらすことができた。だが、小惑星から分離した破片が依然として地球への衝突の危険がある軌道にあり、今度は米東部に向かって進み始めた。

 米政府は、この直径60メートルの小惑星の破片の軌道をそらすため、核爆弾を使うことも検討した。これは2017年のシミュレーションで東京を救った方法だが、政治論争によりこの案は最終的に見送られた。