【5月6日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で5日、前日から続くパレスチナ側からのロケット弾発射を受け、イスラエルは砲撃や空爆などの報復攻撃を続けた。双方に攻撃を緩める様子は見られず、戦闘は激化している。

 ガザ当局によると、4日に同地区から多数のロケット弾が発射されたことで始まったイスラエル側の攻撃により、これまでに少なくとも9人の戦闘員を含むパレスチナ人23人が死亡した。死亡した人の中には妊娠中の女性(37)と赤ちゃん(14か月)もいた。当初この女性は死亡した赤ちゃんの母親だとされていたが、5日になって家族が女性は赤ちゃんのおばだったと説明した。

 しかしイスラエルは、妊娠中の女性と赤ちゃんが死亡したとするパレスチナ側の発表に異議を唱えている。イスラエル軍の報道官は、情報収集の結果、この2人の死はイスラエル側の攻撃によるものではなく、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)によるロケット弾の誤爆が原因だと確信していると述べた。

 イスラエル南部では5日、ガザからのロケット弾とミサイル発射により4人が死亡。イスラエル軍によると、うち3人はイスラエル人であることが確認された。

 今回の戦闘は、ハマスが数か月前にイスラエルと結んだ脆弱(ぜいじゃく)な停戦合意の下でガザ地区の封鎖の緩和を狙ってイスラエルから一層の譲歩を引きだそうとしていた中で始まった。

 4日にパレスチナ人4人が死亡したのに続き、5日にはハマス軍事部門の司令官を含むパレスチナ人19人が死亡。イスラエルは、イランからガザ地区のハマスに資金を調達する役割を担っていた同司令官を狙ったと主張している。イスラエル軍がこのように標的を殺害したと認めるのは異例。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は5日朝、軍に対して「ガザ地区のテロ組織に対して大規模な攻撃を続ける」よう指示したと話した。

 ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)氏は5日夜、もしイスラエルが「完全に停戦すれば、平穏な状態に戻ることができる」とコメントを発表。しかし、完全な停戦合意なしでは「この地域では度重なる衝突が続くだろう」とも述べた。

 イスラエルは、自国軍による攻撃について、ハマスと武装勢力「イスラム聖戦(Islamic Jihad)」が4日からロケット弾や迫撃砲弾600発以上を境界越しに発射したことへの反撃だと主張。イスラエルの防空システムはそのうち150発以上を迎撃したとしている。ガザ地区からのロケット弾発射とイスラエル側からの攻撃は5日夜になっても続いた。

 映像前半は、ハマス軍事部門の司令官が乗った車を空爆した瞬間。イスラエル軍が5日に撮影、提供。後半は、ガザ地区南部ラファ(Rafah)で同日夜に見られた、イスラエル軍による空爆とパレスチナ側が発射したロケット弾。(c)AFP/Sakher Abou El Oun with Mike Smith in Jerusalem