【5月5日 AFP】政情不安が続く南米ベネズエラで、ニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は4日、米国の軍事介入に備えておくよう兵士らに促した。一方、米国が支持する野党指導者のフアン・グアイド(Juan Guaido)国会議長を支持する反体制派は、各地の兵舎までデモ行進し、再び兵士らにグアイド氏支持を呼び掛けた。ベネズエラでは先週、マドゥロ政権派の一部兵士らがグアイド氏の呼び掛けに賛同して蜂起したが、失敗に終わっている。

 ブラディミル・パドリノ(Vladimir Padrino)国防相と共に北西部コヘデス(Cojedes)州の軍施設を訪れたマドゥロ氏は、約5000人の兵士らを前に演説し、「米帝国がわれわれの領土に干渉し、神聖なる地に触れようとする日に備えて、武器を手にとり、母国を守る用意をするように」と指示した。

 演説はテレビでも中継された。軍が現在もマドゥロ氏の反米左派政権に忠誠であると示す狙いがあるとみられる。

 米国はマドゥロ政権を倒す手段として軍事行動の可能性を排除していないものの、今のところは制裁の強化にとどめている。

 一方、50を超える国々から暫定大統領として承認されているグアイド氏は、支持者らに対し、それぞれ近隣の軍基地まで「市民的かつ平和的」にデモ行進し、マドゥロ氏を見限って暫定政権支持に回るよう兵士らを説得しようと、ツイッター(Twitter)で呼び掛けた。だが、グアイド派のデモ参加者は数千人には届かず数百人規模にとどまり、北東部バルキシメト(Barquisimeto)のデモは治安部隊が催涙ガスを噴射して排除した。(c)AFP/Alexander MARTINEZ