【5月4日 AFP】北朝鮮で拘束中に拷問を受けたとされ、昏睡(こんすい)状態で釈放された後に死亡した米大学生オットー・ワームビア(Otto Warmbier)さんの母シンディ(Cindy Warmbier)さんは3日、米首都ワシントンで行われた北朝鮮による日本人拉致被害者の家族との会合に出席した際、北朝鮮を「地球のがん」と呼び、現在の圧力を緩めないよう求めた。

 シンディさんは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の対北朝鮮外交に反対はしないと述べる一方、先行きへの懸念を表明。「私にとって北朝鮮は地球のがんだ。私たちが無視したら、このがんが消え去ることはない。全員が死ぬことになる」と主張した。

 さらにシンディさんは「圧力を維持しなければ、北朝鮮が変わることはない。現在の圧力を緩めることを非常に懸念している」と訴えた。

 シンディさんはオットーさんについて「女の子たち皆が一目ぼれするほど美形だった息子が、怪物のような見た目になっていた」と説明。「もう息子は目が見えなくなっていたから分からないが、その瞳には絶対的な恐怖があった。悪魔を見たような恐怖だ。息子は実際に悪魔を見た。悪魔と共にいたのだ」と語った。

 会合はシンクタンク「ハドソン研究所(Hudson Institute)」で行われた。席上、シンディさんが気持ちを落ち着けるため息子の写真を見せてほしいと求める場面も見られた。

 シンディさんに同席した拉致被害者の横田めぐみ(Megumi Yokota)さんの弟、拓也(Takuya Yokota)さんは、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が拉致問題を引き続き追及することを確信していると表明。米当局者と今週会った際にも拉致問題に焦点を当てるよう求めたと明らかにした。

 さらに拓也さんは、拉致問題やその他の人権問題が解決されない限り、いかなる制裁の緩和にも反対すると述べ、拉致被害者家族は繰り返しこのメッセージを発信してきたと説明した。(c)AFP/Shaun TANDON