【5月3日 AFP】男子テニスのロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、次週のマドリード・オープン(Mutua Madrid Open 2019)で3年ぶりにクレーコート大会に復帰するにあたり、「無人地帯」に向かって旅をするような気分だと明かした。

 37歳のフェデラーは、クレーコートで実力を試したのは2016年のイタリア国際(Internazionali BNL d'Italia 2016)が最後となっており、それ以降はキャリア101勝の大多数を占めるハードコートとグラス(芝)コートでの試合に集中していた。

 しかし、キャリア晩年に差しかかる中で、フェデラーはライバルのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が長期にわたり席巻しているクレーコートに再び挑むことを決断。その舞台にマドリード大会を選んだのは、理にかなっているといえる。

 フェデラーは、標高が高いことから球足が遅いクレーコートの特徴が打ち消されるマドリードで、クレーコートで記録した優勝全11回のうちの2勝を記録している。直近ではマイアミ・オープン(Miami Open 2019)を制しているフェデラーは、「とてもわくわくしている。良いチャレンジと腕試しになる。自信についてはどうかな。無人地帯に行くようなもので、一から始めることになる」とコメントした。

 全仏オープンテニス(French Open 2019)をこの春の最終目標に掲げているフェデラーは、同大会では2009年に優勝しているほか、06年、07年、08年、そして11年に決勝進出を果たしているが、いずれもナダルに敗れて準優勝に終わっている。

 しかしながら、通算11度の全仏制覇を誇るナダルは現在、バルセロナ・オープン(Barcelona Open Banc Sabadell 2019)とモンテカルロ・マスターズ(Monte-Carlo Rolex Masters 2019)で敗退するなどクレーコートでスランプに陥っており、フェデラーはかすかな希望を見いだしている。

 さらに、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)がモンテカルロで準々決勝敗退を喫していることも、フェデラーにとっては一筋の光となっている。

 フェデラーのコーチを務めるイバン・リュビチッチ(Ivan Ljubicic)氏は、伊スカイ・スポーツ(Sky Sports)に対して、「ロジャーは今でもとてもハングリーだ」「彼はかなり速いペースで、再びクレーコートでのプレーに対応している」と述べた。

 最後にクレーコート大会を制したのが2015年のイスタンブール・オープン(TEB BNP Paribas Istanbul Open 2015)となっているフェデラーは、同年のローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)でプレーしたのも、同胞のスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)に敗れた準々決勝が最後となっている。

 翌年のイタリア国際では3回戦でドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)にストレート負けを喫していることから、同サーフェスでの自身のキャリアは終わったと確信したと思われる。

「今年のクレーコートシーズンには、自信を持って突入できるか定かではない。言えるのは、どうやって足を滑らせるかすら覚えていないということだ」「今の時点では一歩ずつ前進するということかな。正直なところ、昨年はクレーコートでは一度もプレーしていないし、1ショットも打っていない。2年前もプレーしたのは2日間だけだ」

「3年前はモナコとローマであまり手応えがつかめなかったし、全てがそういう感じだった。つまり、ほとんどプレーしていないから、どうなるか本当に予想がつかない」とフェデラーが慎重な姿勢を示す一方で、長年のライバルたちは、次週の大会に関して控えめな予想を立てている四大大会(グランドスラム)通算20勝の王者を警戒している。

 世界ランク7位の錦織圭(Kei Nishikori)は、クレーコートでフェデラーと対戦したのは2013年のマドリード大会が唯一で、この試合で勝っていることが少なくとも励みになっているとしながらも、「ロジャーに関しては何だって可能」という認識を示した。

「ローラン・ギャロスを制することは、彼にとっては全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)やウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)で勝つより難しいかもしれないけど、彼が100パーセントでトライすれば、どんなことだってできると思う」「ロジャーはクレーでも大活躍できると確信している。いまでも僕のアイドルだし、史上最高の選手だ」 (c)AFP/Dave JAMES