【4月30日 AFP】フランス・パリのルーブル美術館(Louvre Museum)で今年、レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の没後500年記念展が開催されるが、メディアや専門家の注目を集める絵画「サルバトール・ムンディ(救世主、Salvator Mundi)」は展示されない可能性が出てきている。

 サルバトール・ムンディは2017年、競売大手クリスティーズ(Christie's)でダビンチの作品として競売に出され、4億5000万ドル(約500億円)で落札された。だがそれ以後、公の場に展示されることはなく、所有者が誰か、どこにあるのか、本当にダビンチの作品なのか、さまざまな臆測や疑いを呼んでいる。

 サルバトール・ムンディは1500年ごろにダビンチがイエス・キリスト(Jesus Christ)を描いたものとされる作品で、昨年9月にルーブル美術館の国外初となる分館ルーブル・アブダビ(Louvre Abu Dhabi)に展示される予定だった。ところが、理由は一切発表されないまま、展示は延期された。

 ルーブル・アブダビは落札者の身元については固く口を閉ざし、アラブ首長国連邦(UAE)の文化観光局が「取得した」とのみ説明している。

 来月2日、イタリアのセルジョ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)大統領とフランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領が、1519年にダビンチが67歳で亡くなった地、仏ロワール渓谷(Loire Valey)で行われる式典に出席するが、それに先立ち、サルバトール・ムンディの謎はさらに深まった。

 AFPの取材に応えたルーブル美術館の広報担当者によれば、「ルーブルは(UAEの)アブダビにある文化観光局にあの絵の貸し出しを依頼した」が「一切、返事がない」というのだ。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、絵画を落札したのはサウジアラビアのバドル・ビン・アブドラ・ビン・ムハンマド(Badr bin Abdullah bin Mohammed)王子で、同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)の代理だったと報じている。