【4月30日 AFP】北朝鮮で投獄された末に昏睡(こんすい)状態で釈放され死亡した米大学生オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏について、同氏の身柄引き取りのために当時訪朝した米国務省の元高官が29日、北朝鮮が医療費として請求した200万ドル(約2億円)の支払いに米政府が合意したことを認め、米政府はこれを順守すべきだと述べた。

【写真】昏睡状態で北朝鮮から釈放され、死亡した米大学生ワームビア氏

 米国務省のベテラン外交官で当時、北朝鮮担当特別代表だったジョセフ・ユン(Joseph Yun)氏は米CNNテレビのインタビューで、2017年に昏睡状態のワームビア氏を米国に帰国させるため平壌を訪問した際の経緯を説明。北朝鮮側からユン氏に対し、ワームビア氏の医療費の請求書が提示されたという。

 ユン氏は当時国務長官だったレックス・ティラーソン(Rex Tillerson)氏に連絡。ティラーソン氏はそこでドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領から直接医療費の支払いの合意を得たとみられ、すぐさまユン氏に電話をかけ直し、請求書に署名する許可を出したという。

 ワームビア氏は獄中で拷問を受けたとみられ、昏睡状態で米国に帰国、数日後に亡くなった。ユン氏はその後、国務省の職を離れている。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が最初に北朝鮮の医療費請求について報じる前、トランプ氏は自身を米国史上「最も優れた人質開放交渉術の持ち主」と表現し、ツイッター(Twitter)への投稿で北朝鮮には何も支払っていないと述べていた。

 ユン氏は「米国政府から他国の政府に支払いを約束し、署名したならば、その約束を守る義務がある」と述べた。(c)AFP/Shaun TANDON