【4月29日 AFP】昨年10月と今年3月に相次いで墜落事故を起こしたボーイング(Boeing)737MAX型機について、米連邦航空局(FAA)が昨年、同型機の一部の運航停止を検討していたことが、関係筋の証言で明らかになった。

 昨年10月にインドネシア沖で起きたライオン航空(Lion Air)機の事故と、今年3月のエチオピア航空(Ethiopian Airlines)機の事故の調査の焦点は、失速防止システム「MCAS」に絞られている。

 関係筋によると737MAX型機の最大の運航者である米サウスウエスト航空(Southwest Airlines)の監督を担当していたFAAの検査官らは昨年、MCASに不具合が発生した場合に運航乗員に警告信号を発する機能をボーイングが作動しないようにしていたことを知ったという。

 サウスウエスト航空の広報担当者によると、乗客乗員189人全員が死亡したライオン航空機の事故の前にボーイングからは、737MAX型機の全ての機体で、運航乗員がこの機能をオン/オフのどちらに設定していても、この機能は作動するようにしてあると説明されていたという。

 しかしライオン航空機事故の後、ボーイングはサウスウエスト航空に対し、この機能は「明確にオンにしない限り、オフにされるようになっていた」と説明し、サウスウエスト航空は自社で運航する全ての同型機でオンにすることを選んだという。この時に初めてFAAは、ボーイングがこの機能を別途料金がかかるオプションとしていたこと、またボーイングがサウスウエスト航空に事前に通知することなく同航空の737MAX型機全機でこの機能をオフにしていたことを知った。

 これを受けてFAAの検査官らは、サウスウエスト航空のパイロットにこの機能に関する追加訓練が必要かどうか検討する間、同航空が運航する737MAX型機を飛行停止にすべきか検討した。結局、検査官らは飛行停止措置を取らないことにしたが、関係筋は、その検討の詳細はFAAの上層部にはまったく報告されなかったと述べ、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた同様の内容は事実だと認めた。