【4月29日 AFP】2018年の米国の軍事費は、トランプ政権の政策を反映して7年ぶりに増加傾向に転じた。スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が29日、最新報告書で発表した。

 SIPRIの軍事費部門を率いるオーデ・フローラン(Aude Fleurant)氏は、「トランプ政権下で2017年から実施されている新たな兵器調達計画が米軍事費の拡大を促した」と述べた。

 米国が単独で占める6490億ドル(約72兆円)の軍事支出は、米国に続く上位8位までの国々の合計額に匹敵する。

 SIPRIによると2018年には世界の軍事費の総額も、前年比2.6%増の1兆8000億ドル(約200兆円)に達した。世界の軍事費は2年連続で増大し、1988年以来最高額を記録。報告書は、中国と米国の軍事支出の増加が、世界全体の軍事費総額をさらに押し上げたと指摘した。

 中国の軍事費は2009年から83%増加しており、軍の近代化を図るサウジアラビアとインド、およびフランスを抜いて世界で2番目に軍事支出の大きい国となっている。中国では2013年以降、軍事支出が国内総生産(GDP)の1.9%を占めている。

 一方、2016年以降、軍事費を縮小させているロシアは、上位5か国から外れた。ウクライナ危機を理由に2014年以降、欧米諸国がロシアに対して発動している経済制裁が、ロシアの軍事予算に影響を及ぼしている。(c)AFP