【4月24日 AFP】AFPが入手した国連(UN)報告書の草案によると、人為的影響により最大100万種に及ぶ生物が絶滅の危機に直面する恐れがあるという。報告書では、人類の生存に不可欠な自然資源を人類がどのようにして損なってきたのかが、詳細に列挙されている。

 われわれ人類の生存に必要な、清浄な空気、飲用可能な水、二酸化炭素(CO2)を吸収する森林、花粉を媒介する昆虫、タンパク質を豊富に含む魚、嵐を食い止めるマングローブなどの自然の恵みは、次第にその規模が縮小している。これらは、ほんの数例にすぎないが、その減少のスピードが加速することで、気候変動に劣らない脅威になると、5月6日に公表予定の報告書は指摘している。

 報告書は、自然環境に関する科学文献を国連が調査してまとめた1800ページにわたる調査文献から要旨を抽出した44ページの「政策立案者向け概要」だ。ここでは、生物多様性の損失と地球温暖化が密接に関連していると指摘されている。

 4月29日から仏パリで開催される国連の科学者組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学・政策プラットフォーム(IPBES)」の総会では、世界130か国の政府代表らによってこの政策立案者向け概要が詳細に検証される。言い回しは変えられる可能性があるが、概要の基となる報告書からの数字は変更できない。

 国連の要請を受けて報告書をまとめたIPBESのロバート・ワトソン(Robert Watson)議長は、AFPの取材に対し「気候変動と自然損失は同様に重要な課題。また、環境にとってだけでなく、開発や経済の問題としても重要だ」と語った。ただ、IPBESの調査結果については詳細を明かさなかった。

 ワトソン議長は「人類が持つ食物やエネルギーを生産する方法は、自然が人類にもたらす調整(機能とその有益な)効果を弱体化させている」と述べ、またこの損害を食い止めることができるのは「変革的な変化」だけだと続けた。

 家畜の生産を含む農業と森林破壊は、温室効果ガス排出の約4分の1の原因となっている上、自然生態系に大きな打撃を与えている。