【4月23日 AFP】オーストラリア南東沖で、第2次世界大戦(World War II)中に旧日本軍の魚雷攻撃を受けて沈没した貨物船が、77年ぶりに見つかった。豪考古学者らの調査チームが23日、発表した。発見された沈没船は「比較的、完全な状態」だという。

 見つかったのは、1942年6月4日に南東部ビクトリア(Victoria)州沖を鉱石を積載して航行中に、旧日本軍の潜水艦が発射した魚雷が命中して沈没したオーストラリアの貨物船「SSアイアン・クラウン(SS Iron Crown)」(全長100メートル)。船は1分もたたずに沈み、乗組員43人のうち、38人が死亡した。

 
 調査チームは水中音波探知機(ソナー)と水中カメラを用い、ビクトリア州沿岸から約100キロ沖で、水深約700メートルの海底に沈んだアイアン・クラウンを発見した。今後、沈没地点で犠牲者の追悼式を行う計画だという。

 ビクトリア州文化遺産評議会(Victoria Heritage Council)によると、沈没船から生還した5人は、なんとか救命胴衣を身に着け、漂流物にしがみついて浮いていたところを救助されたという。

 豪考古学者のピーター・ハーベイ(Peter Harvey)氏は、「77年間も沈没した場所が不明だった貨物船が発見されたことで、海中で命を落とした乗組員たちの親族や家族、さらにオーストラリアの海事社会は、ようやく終幕を迎えられる」と述べた。

 同文化遺産評議会によれば、オーストラリアでは1942年6月から43年にかけて、旧日本軍が豪東海岸に派遣した計13隻の潜水艦の攻撃により、豪船舶22隻が沈没し、194人が犠牲となった。(c)AFP