【4月20日 AFP】ドイツの老舗カメラメーカー「ライカ(Leica)」が、中国でタブー視されている1989年の天安門(Tiananmen)事件における弾圧を扱った広告動画をめぐって、中国国内で強い反発を受けた。

 今週公開されたこのプロモーション動画は、危険な状況下でライカ製のカメラを手にし、世界各地で仕事に臨むフォトジャーナリストたちを描いており、天安門事件で人民解放軍の戦車の前に立ちはだかった一般市民の姿を捉えようと奮闘する欧米人ジャーナリストに焦点を当てている。

 この動画はライカのロゴと、「私たちに見せるために自分の目を貸してくれた人々に、この動画をささげる」とのメッセージが掲げられて終わる。

 だがここ数日、中国のネットユーザーからはこの動画に対し怒りの声が上がっている。

「戦車男」の名で知られるこの市民を捉えた写真は、1989年に中国の首都北京をまひ状態に追い込み、数週間にわたって続いた民主化デモをおそらく最も象徴するものとなった。民主化デモは武力による弾圧を受け、数百人もしくは数千人が殺害されたとみられている。

 以降、天安門事件について公的な場で言及することは原則禁止されており、今年の6月初めに事件から30年を迎えることから、現在はとりわけセンシティブなものとなっている。

 ライカの広報担当者は香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)に対し、この動画はブラジルの代理店が制作したものであり、ライカが公式に認めたものではないと説明。

 同紙は先の広報担当者が、ライカは「それゆえこの動画の描かれている内容から距離を置かなければならないし、誤解や間違って引き出され得る結論について遺憾に思う」と述べたと伝えている。

 AFPは現時点で、ライカからさらなるコメントを得られていない。

 また中国のソーシャルメディア上では20日の時点で、この動画やそのコメントについての検索結果が表示されない状況となっており、大規模な検閲システムが動画や関連するコメントをブロックしていることを示唆している。(c)AFP