【4月20日 AFP】ウクライナの首都キエフで19日、21日の大統領選決選投票を前に候補者の公開討論会が開かれ、優勢に立つコメディー俳優のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)氏(41)が旧態依然とした政治体制の打破を誓った。

 世論調査では、政治経験のないゼレンスキー氏が現職のペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領(53)を大きくリードしている。

 討論会はオリンピック・スタジアムで1時間にわたって行われ、欧州連合(EU)とロシアとの緩衝地帯とされ、紛争で荒廃したウクライナで数週間続いたセンセーショナルな選挙運動の最後を締めくくった。

 ゼレンスキー氏は今回初めて出席した公開討論会で、「私は政治家ではない」と切り出し、「私はこの体制を破壊するために来た普通の人間だ」と述べた。

 さらに、ポロシェンコ氏に対して「私はあなたの過ちと約束の結果だ」と述べると、聴衆からは喝采が起き、やじが飛んだ。

 ポロシェンコ氏は、政治家としての能力が未知数のゼレンスキー氏の経験不足を攻撃。現役兵としての兵役を回避したことを批判した上で、同氏ではロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に抵抗することはできないと述べた。

 さらに、ゼレンスキー氏の出演番組を放映するテレビ局を所有する実業家イーゴリ・コロモイスキー(Igor Kolomoysky)氏との結び付きについても非難した。

 警察発表によると、公開討論会の聴衆は2万人以上に上った。

 新政権が長年にわたる改革を白紙に戻すのではないかと懸念される中、欧米諸国もウクライナ大統領選に注目している。

 欧米のある元外交官はAFPに、ゼレンスキー氏が大統領に就任することの主なリスクは、「経験不足による政策の矛盾」と「オリガルヒ(新興財閥)またはロシア人からの不当な影響」と語った。(c)AFP/Dmytro GORSHKOV and Anna SMOLCHENKO