【4月12日 AFP】インドネシアで17日に投開票される総選挙に、「ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)」氏が立候補している。とはいえ、冷戦(Cold War)終結の立役者の一人で、現在88歳になる「あの」ゴルバチョフ旧ソ連元大統領ではない。

 候補者が24万5000人以上に達し、同国史上最大となった議会選に出馬しているのは、ミハイル・ゴルバチョフ・ドム(Mikhail Gorbachev Dom)氏(32)。

 ドム氏は元環境研究員で、1986年生まれ。1986年といえば、ソ連でゴルバチョフ書記長が後のソ連崩壊につながる改革路線を打ち出した年だ。

 ただドム氏が「ミハイル・ゴルバチョフ」と名付けられた経緯に、世界史を揺るがすような要素があったわけではない。

 ドム氏はジャカルタでAFPの取材に対し、「両親は生まれてくる子は絶対に女児だと思い込み、男児の名前は考えていなかった。私が生まれて大慌てした」と話した。

 父親がゴルバチョフ氏の名を新聞で目にしたのは、ドム氏に名前がないまま約1週間が過ぎた頃だった。「父が格好良い名前だと思い、しかもソ連の有力な指導者だと知って、息子にこの名前を付けようと考えたらしい」とドム氏。

 思春期にはその一風変わった名前に良い気はせず、今も愛称のゴルバと呼ばれる方を好むというドム氏だが、一向に進歩のない環境活動に業を煮やして、政界入りを決意。そうしてみると、ゴルバチョフという名が強みになることが分かったという。「皆名前は忘れませんから、私の顔は思い出せなくても」 (c)AFP