【4月11日 AFP】サッカードイツ代表のテクニカルディレクターを務めるオリバー・ビアホフ(Oliver Bierhoff)氏は、昨夏のメスト・エジル(Mesut Ozil)の代表引退をめぐる一連の騒動で自身に誤りがあったと認めた。

 週刊紙ツァイト(Die Zeit)のウェブサイトで10日に公開されたインタビューの中で、ビアホフ氏は「事態は悪い形で進んだ。そのことを非常に申し訳なく思う」と語った。

 昨年6月に行われたW杯ロシア大会(2018 World Cup)敗退後、エジルが代表からの引退を発表すると、ドイツサッカー界では人種差別についての議論に火がついた。

 トルコ系ドイツ人のエジルは、大会開幕を前にトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領と並んで写真を撮ったことについて激しく非難された。

 大会期間中、代表チームにおけるエジルの立ち位置について激しい議論が交わされると、エジルは大会終了後にドイツサッカー連盟(DFB)と当時の会長だったラインハルト・グリンデル(Reinhard Grindel)氏の組織的な人種差別を痛烈に非難する引退発表文を記した。

 エジルは「グリンデル会長(当時)や彼の支持者から見れば、私がドイツ人なのは勝ったときだけで、負けたときは移民なのだろう」とつづっていた。

 W杯の直後に行われたインタビューで、エジルをW杯メンバーから外すべきだったとほのめかし厳しく批判されたビアホフ氏は、ツァイトのインタビューで自身の誤りを認めた。

「私を含め、多くの誤りがあった」「結局、誰にとっても良い結果にならなかった」

 ビアホフ氏はまた、代表引退を表明したエジルが、関係を修復するための話し合いに出席しなかったことを残念に思うと述べた。

 また、ビアホフ氏はマンチェスター・シティ(Manchester City)に所属するリロイ・ザネ(Leroy Sane)をW杯のメンバーに入れなかったのは間違いだったと認めた。

「W杯メンバーに活力を与え、チーム内の団結力を強めるために彼らに対して意図を説明したかった」

 ビアホフ氏は「落選した選手に関する議論がこれだけ多くあるということを、われわれは軽視していたのかもしれない」と話し、自身とヨアヒム・レーブ(Joachim Loew)監督は「チームの原動力を誤って評価」していたと続けた。

 ビアホフ氏のこのコメントが公開された1週間前には、エジルが人種差別を行っていたと批判したグリンデル氏が、高級時計を受け取ったことでDFBの会長職を追われている。

 しかし、ビアホフ氏はグリンデル氏の後任としてDFBの会長職に立候補する意思はないと明かした。

「私には刺激的で素晴らしい仕事があり、これを大きな挑戦だと考えている」 (c)AFP