【4月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は10日、2016年大統領選挙でのトランプ陣営とロシアの共謀疑惑に対する捜査は「クーデター未遂」事件だったと述べ、捜査への非難を強めた。また、ウィリアム・バー(William Barr)米司法長官は同日の議会証言で、連邦捜査局(FBI)による同大統領への「スパイ行為」について捜査を行うと公約した。

 ロシア疑惑をめぐる捜査はロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官の指揮下で行われ、2週間余り前に最終報告書が提出された。報告書はバー長官による要約版しか公表されていないが、疑惑は晴れたとみられており、トランプ氏は捜査への非難を続けている。

 トランプ氏は10日、ホワイトハウス(White House)で、捜査は「クーデター未遂事件だった。大統領降ろしの未遂事件だった」と断言し、非難の度合いを強めた。

 さらに同氏は「あの行為は反逆であり、恐ろしいことだ。わが国の憲法に反する行為だ」と述べ、関係者の処罰を求めた。

 ロシア疑惑の捜査をめぐっては、大統領選でのトランプ氏の劇的勝利を覆すため、民主党やいわゆる「ディープ・ステート(闇の政府)」が捏造(ねつぞう)したものだと右派の間で広く語られており、同氏の発言はその陰謀説を助長するもの。

 バー長官は議会証言で、モラー特別検察官の捜査が開始された経緯をめぐり、FBIのトランプ氏に対する「スパイ行為」を捜査すると表明。同長官は「スパイ行為は実際にあったと考えている。問題は、それが適切な根拠に基づくものだったかどうかだ」と述べる一方、「根拠がなかったと言っているわけではない」とした。

 同長官は、モラー氏が提出した報告書の全文について、治安上、法律上の理由で公開できないと見なされる箇所を除き、「来週」公表されるとの見通しを示した。

 トランプ氏は10日、報告書について恐れることはないと改めて主張。「私はモラー報告を見ていない。読んでいない」としたほか、「私としてはモラー報告はどうでもいい。私の潔白は完全に証明されている」と述べた。(c)AFP/Sebastian Smith