【4月9日 AFP】北朝鮮の首都平壌で7日、毎年恒例の国際マラソン大会が開催された。緊張緩和を受けて北朝鮮を訪れる観光客数が増加する中、同国での観光旅行を取り扱う代理店各社によると、昨年の倍以上となる数の欧米人が参加したという。

 この大会は建国者である故金日成(キム・イルソン、Kim Il Sung)国家主席の生誕を祝う記念行事の一環として行われ、観光イベントの目玉となっている。外国人にとっても、厳しい統制下に置かれた平壌市内の路上を走ることができる機会となっている。

 業界最大手の高麗ツアーズ(Koryo Tours)によると、今大会の欧米人参加者数は、昨年の約450人の倍以上に当たる約950人で、2017年の水準をほぼ回復した。

 2017年の大会後、北朝鮮は一連のミサイル発射実験を実施し、同国の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長とドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が脅しや個人攻撃の応酬を繰り広げるなど、緊張が高まった。

 さらに同年、北朝鮮のホテルから政治宣伝ポスターを盗んで収監された米国人学生オットー・ワームビア(Otto Warmbier)氏が、昏睡(こんすい)状態のまま釈放されて死亡したことを受け、米国民の北朝鮮への渡航を禁止。数か国が追随して渡航情報の警戒レベルを引き上げた。

 こうした出来事が重なり、北朝鮮の観光業は大打撃を受けていた。米国は今も渡航禁止措置を維持しているものの、旅行会社によれば、米朝首脳が会談を行ったことを受け、欧米人参加者数は増加したという。

 旅行代理店ウリツアーズ(Uri Tours)のエリオット・デイビス(Elliott Davies)氏は、「政治的緊張が緩和されるにつれて、観光需要が増加している」と説明した。

 旅行代理店各社は、観光中は「何をすべきか、何をすべきでないか」についていつも以上に気を付けるよう注意を呼び掛けている。高麗ツアーズのサイモン・コッカレル(Simon Cockerell)氏は、「北朝鮮観光の際にはこれが必須だ。(北朝鮮を)旅行したい人は、説明を受けずに渡航してはいけない」と述べた。

 映像は7日撮影。(c)AFP