【4月2日 AFP】火星のメタン(CH4)の謎がついに解決する可能性が出てきた。1日に発表された研究結果によると、生命活動を示唆するメタンガスの火星での存在が確認され、またそれが発生していると考えられる場所の特定もできたという。

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 欧州の探査機が火星大気中に微量のメタンガスが含まれていることを報告して以降、メタンの存在を示す測定値の正確さをめぐっては、15年にわたり議論が続いている。地球上ではメタンは単純な生命体によって生成される。

 メタンガスは比較的速やかに消散する(地球上では約12年以内)。これと、火星大気の観測が困難であるという状況とが相まって、多くの科学者らは単一の観測データにのみ依存する過去の研究結果を疑問視していた。

 国際専門家チームによる研究では、火星上にメタンが存在することを示す独立した証拠を見つけるために、異なる2機の探査機が2013年にわずか1日違いで収集した観測データが比較された。

 火星でのメタンの発生源として最も可能性が高いとされているのがゲール・クレーター(Gale Crater)の東に位置する凍結層だ。研究チームは、その仮説を裏付けるために今回、二つの実験を並行して実施した。ゲール・クレーター自体は干上がった湖だと考えられている。

 イタリア国立天体物理学研究所(National Astrophysics Institute)のマルコ・ジュランナ(Marco Giuranna)氏は、AFPの取材で「この結果は非常に興味深く、ほぼ予想外だ」と語り、「二つの完全に独立した調査が、メタンの発生源として最も可能性の高い場所を指し示したが、その大まかな領域はほぼ同じだった」と続けた。

 欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機マーズ・エクスプレス(Mars Express)が2013年6月16日、ゲール・クレーター上空の大気中で測定したメタンの濃度は15.5ppb(1ppbは10億分の1)だった。この24時間前、米航空宇宙局(NASA)の火星無人探査車「キュリオシティー(Curiosity)」が取得した測定値によって、この付近にメタンが存在することが確認されていた。

 ジュランナ氏と研究チームはこれらのデータを用いて、ゲール・クレーターの周囲の領域を縦横250キロの正方形の格子に分割した。

 次に、各区分に対して100万に及ぶコンピューターモデル化した放出シナリオを実行し、それと並行して、別のチームはメタンの放出と関連があるとされている地球上での特徴と同じものを探すために火星表面の画像を調べた。