【3月31日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)は30日、イスラエルに対する週末の抗議デモとこれに伴うイスラエル側との衝突が始まってから1年を迎え、パレスチナ人数万人がイスラエルとの境界線で大規模なデモを行った。しかしエジプトなどが仲介に乗り出し、多数の死者が出る事態は回避された。

 ガザのイスラエル境界線付近の5か所で抗議デモが行われた。イスラエル軍は境界線沿いの複数の地点に合計でおよそ4万人の「暴徒とデモ参加者」が集まったと発表した。来月9日に総選挙を控えたイスラエルは、ガザ地区との境界線付近に数千人の兵士を配備した。

 30日正午(日本時間同日午後6時)ごろには、数十人のパレスチナ人がガザ地区北部ジャバリア(Jabalia)の東にある境界線のフェンスに近づく姿が見られたが、イスラエル軍が催涙弾を発射すると離れていった。デモ参加者はイスラエル兵士に向かって投石したり、タイヤに火を付けたりして抗議を行った。

 ガザ保健省によると、イスラエルの発砲によりパレスチナ人4人が死亡した。内訳は前夜からの抗議デモで死亡した1人と、その後に発生した衝突で死亡したいずれも17歳の3人。さらにガザの住民316人が負傷した。しかし昨年5月14日に米国が在イスラエル米大使館をエルサレムに移転したことを受けて60人以上のパレスチナ人が死亡した時のような抗議デモや衝突は起こらなかった。

 エジプトが暴力を阻止するためにガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)とイスラエルの調停を試みた。ハマス当局は抗議デモを鎮静化させることを条件に、イスラエル側がガザ封鎖を緩和することで合意に達したと述べた。(c)AFP/Joe Dyke and Sakher Abou el Oun