【3月27日 AFP】スペインの首都マドリードで2月、北朝鮮大使館に武装集団が押し入り、職員らに暴行を加えてコンピューターを盗んだ事件で、武装集団のリーダーとされる男が、盗んだ情報を提供するため米連邦捜査局(FBI)に連絡を取っていたことが分かった。スペインの裁判所が26日、明らかにした。

 スペイン全国管区裁判所(National Court)の発表によると、男はメキシコ国籍のアドリアン・ホン・チャン(Adrian Hong Chang)容疑者で、襲撃の5日後に「大使館での事件に関する情報」を渡すためにニューヨークでFBIに連絡を取った。同容疑者は自分の意思で行動したと主張したという。

 謎に包まれたこの事件に関し、当局が詳細を明らかにしたのはこれが初めて。事件はドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の首脳会談を数日後に控えた2月22日に発生。首脳会談では北朝鮮の非核化が協議されたが、合意に達することなく終わっていた。

 スペイン全国管区裁判所によると、事件では武装集団のメンバー2人が大使館の商務官を地下室に連れ込み、亡命を促したが、商務官はこれを拒否。武装集団は「北朝鮮の解放を目指す人権運動連合のメンバー」を自称していたという。(c)AFP