【3月25日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の「カリフ制国家」の完全壊滅が宣言された翌日の24日、IS戦闘員らが、米軍主導の有志連合から支援を受ける民兵組織に投降し、潜伏先から続々と姿を現した。

 現地で取材に当たっているAFP記者によると、主に男性ら数十人が、対イラク国境に近いバグズ(Baghouz)村の荒廃した野営地からぞろぞろと出てきたという。

 IS掃討作戦を展開してきたクルド人民兵組織の広報担当者は、「一行は坑道から出てきたIS戦闘員で、きょう投降した」と述べた。

 小雨の降る中、最後の潜伏場所から重い足取りで出てきた集団の中には、長いひげを蓄え、暗色のローブの上に羊毛のカフタン(前開きの上着)を羽織っている者もいた。

 ただこの広報担当者は、「内部にまだ隠れている者がいるかもしれない」と話している。

 シリアのクルド自治区の外務当局トップであるアブデル・カリム・オマル(Abdel Karim Omar)氏は、一連の戦闘中に拘束したISのメンバーらが依然脅威になっていると警戒。

 同氏はAFPに対し、「イラク人やシリア人以外に54か国から、戦闘員らに加え、子どもや女性が数千人いる。われわれや国際社会にとって、これらの人々が深刻な負担かつリスクになっている」と指摘。「バグズでの作戦が展開されたこれまでの20日間に、この数は大幅に増えている」と懸念を示している。

 クルド当局の報道官による25日の発表では、シリア北東部アルホル(Al-Hol)に設けられている避難民向けのキャンプに、ISとつながりのある外国人9000人以上が生活しており、そのうちの大半が子どもだという。

 この報道官はAFPに対し、同キャンプに暮らす外国人の総数には、子ども6500人以上が含まれていると話している。(c)AFP