【3月22日 AFP】イラク北部にあるイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の元拠点都市モスル(Mosul)で21日、クルド人地域の新年祭を祝う家族連れを多数乗せ、増水したチグリス川(Tigris River)を運航中だったフェリーが沈没し、女性と子どもを中心とする94人が死亡した。イラクで近年発生したものとしては最悪の事故となった。

 モスルでは、ISからの都市奪還後、今年になって新年祭が再開されたばかりで、事故を受け住民の間には悲しみが広がっている。この日はクルド人地域の新年祭「ノールーズ(Nowruz)」と春の到来を祝う休日で、フェリーはチグリス川をわたって人気のピクニックエリアへ向かう男女や子どもで満員だった。

 モスル治安当局筋はAFPに対し、沈没原因は川の増水に加え、定員を超える100人以上が乗っていたことにあると語った。内務省のサード・マーン(Saad Maan)報道官によると、死者には子ども19人が含まれ、55人が救出された。アデル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)首相によれば、死者のうち61人が女性だった。

 イラク司法省はフェリー運営会社の9人の身柄拘束を命じ、フェリー所有者らの海外渡航を禁じた。当局は事故に先立ち、豪雨が数日間続いたことを受け、モスルダム(Mosul Dam)の放流が行われ、チグリス川が増水する見通しだとして注意を呼び掛けていた。

 映像前半は犠牲者の写真を確認する人たち。後半は家族と再会する子どもや、生存者を運ぶ船。21日撮影。(c)AFP/Raad Al-Jammas with Ammar Karim in Baghdad