【3月21日 AFP】オランダで20日に行われた州議会選挙は、出口調査によると欧州連合(EU)懐疑派のポピュリズム(大衆迎合主義)政党が急速に支持を拡大する一方、マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相の自由民主党(VVD)は苦戦し、全12州の州議会代表からなる上院(75議席)での保有議席が過半数を割る見通しだ。

 オランダでは18日、ユトレヒト(Utrecht)の路面電車内で銃撃事件が発生し、3人を殺害したとしてトルコ生まれの男が逮捕されたばかり。右派の各政党は、この事件を機に反移民政策を改めて強く主張している。

 公共テレビ局NOSの出口調査によると、中道右派のVVD率いる連立与党は獲得議席数が12議席にとどまり、上院で保有していた38議席を31議席まで減らす見通し。ルッテ内閣は今後、他党の協力を得なければ法案を可決できない可能性がでてきた。

 一方、極右ポピュリストのティエリー・ボーデ(Thierry Baudet)氏率いるEU懐疑派政党「民主主義フォーラム(FvD)」は、10議席を獲得し、上院第2党に躍進するとみられる。反イスラムの極右政党、自由党(PVV)は9議席から6議席に減る見通しだが、FvDと手を組めば影響力を及ぼすことが予想される。

 上院議員は、今回の州議会選で当選した570人の議員の中から5月に選出される。

 8年間にわたり国政を率いるルッテ首相は欧州連合(EU)でも影響力のある政治家で、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)交渉でも存在感を示しているが、今回の選挙結果で国内での足元が揺らぐことになりそうだ。5月には欧州議会選挙が控えており、欧州各国はオランダのポピュリスト支持拡大の動きに注目している。(c)AFP